南加賀周遊

ホーム > 義経伝説 > 義経ゆかりの地

義経ゆかりの地

義経ゆかりの地

ひげの梶さんと巡る南加賀の旅 1

ひげの梶さんひげの梶さんこと梶本晃司さん

こんなにも人里離れた寂しい道を、義経は駆け抜けたのだろうか。華々しい戦さ場の名声から一転、ささいな行き違いにより追われる身となった義経主従。黒崎海岸近くに残る旧北陸道・浜通り道(旧木曽街道)に立つと、義経の無念が胸に迫ってくるようです。義経一行が辿った道には諸説ありますが、当時この地の代表的な道といえば、まず官道の北陸道をあげることができます。中世の北陸道には海岸沿いの[浜通り道]と内陸の[中通り道]がありましたが、海風が吹きつけ、崖や砂浜が迫る険しい[浜通り道]はやがて官道の役目を終えていきます。しかし、その[浜通り道]の一部が加賀市黒崎町北の黒松林の中に今も残っているのです。史実を大切にしながら、そこから物語をふくらませて、歴史の舞台や歴史の道を探し出し、訪ね歩くことに私は楽しさを感じます。義経の逃避行を、木曽義仲が都をめざして攻め上った野望を、南加賀で追体験してみませんか。わずかに残る中世の道を足がかりとして、源平の旅を始めましょう。

梶本 晃司 (かじもと・こうじ)

1947年、神奈川県生まれ。学生時代から始めた歴史探歩の会は、すでに30余年、催行回数も約2000回。

国宝(厳島神社)、国の重要文化財(金沢城石川門・能登時国家・宮島千畳閣など)を舞台としたイベントの企画や作詞・演出の分野にまで、その活動は拡がっています。

た地域における新しいテーマ型観光おこしや活性化、さらには学校行事にも取り組み、各地でユニークな企画づくりに携わり、アドバイザーを務めています。

著書にひげの梶さん歴史文学探歩シリーズ『利家とまつを歩こう!』『西国街道を歩こう!』『誰も気づかなかった鎌倉を歩こう!』『とっておきの鎌倉を歩こう! パート2』(いずれも南々社)。

コラム

源平の時代の道

古代の北陸道(木曽街道)は海、湖、川の水上輸送と深く結びつき、海岸線に沿って設けられていました。中世前半までの官道はおもに海岸沿いに砂浜や松林のなかを通っていたため、波涛による海岸の崩壊や飛砂、砂丘地の拡大により、通路の移動を余儀なくされました。

中世の官道には浜通り道(浜街道)と中通り道(内陸道)がありましたが、農業や手工業の発展に伴って内陸部での利用が増え、やがて中通り道が官道となりました。

木曽街道とは木曽義仲が平家軍を追撃して南下したという古い通路の一つであり、現在の主要地方道(小松・加賀線)にあたります。篠原から安宅、根上などを結ぶ海岸沿いの道です。なお黒崎町の北の黒松林中に幅3メートル、ほどの旧木曽街道・浜通り道が90メートルほど残っています。

スポット

弁慶謝罪の地べんけいしゃざいのち[道林寺公園]

弁慶謝罪の地

能美市道林町ヘ106番地 0761-55-8509(能美市商工観光課) P有、見学自由 ○アクセス/小松ICから車で10分

[勧進帳]の脚本の終盤に、安宅の関をなんとか通過した一行は北の方へしばらく移動した後、小さな祠で弁慶が義経に謝罪し、ともに涙する名場面があります。その祠のあった付近を整備し、銅像、石碑を建立。小松市での[勧進帳]公演のため訪れた市川團十郎さんも立ち寄り、碑前で手をあわせました。

安宅の関跡あたかのせきあと[勧進帳の里]

安宅の関跡

小松市安宅町 0761-22-2404(安宅観光協会) P有、見学自由 ○アクセス/JR小松駅から小松バス関所前下車、徒歩7分

潮風に吹かれながら松林のなかを散策すれば、歴史のロマンが広がります。石川県指定の史跡[安宅関跡]は安宅住吉神社の境内にあり、拝殿で関所武具や義経の椀を見学することができます。[勧進帳]の弁慶の智にあやかった難関突破のお守りはここだけのもの。歌舞伎[勧進帳]の名場面を彷彿とさせる義経・弁慶・富樫の像を眺めたあとは、夕日の名所・安宅ビューテラスでひと休み。日本海の海風が心地良いひとときです。

○URL/http://ataka-no-seki.or.jp

巌根宮いわねぐう[義経の雨宿り]

巌根宮

能美市岩本町12番地 0761-55-8509(能美市商工観光課) 見学自由 ○アクセス/北鉄鶴来駅から北鉄バス岩本下車、徒歩5分

[義経記]では『岩本の十一面観音に通夜ありて』と岩本神社(巌根宮)に籠ったと記されています。

尼御前岬あまごぜんみさき

尼御前岬

加賀市美岬町 0761-72-6678(KAGA旅まちネット) P有 ○アクセス/JR加賀温泉駅からタクシー20分 バス:キャンバスの橋立漁港から徒歩12分

奥州をめざす義経一行のなかにいた尼が、安宅の関の取り調べの厳しさを聞き、女なるがゆえに足手まといになることを憂い、主君の安泰を願って岬から身を投げた悲話が伝えられています。北陸自動車道尼御前サービスエリアからは遊歩道が整備され、また岬には尼御前の像があります。

篠原古戦場しのはらこせんじょう

篠原古戦場

加賀市手塚町 0761-72-6678(KAGA旅まちネット) P有、見学自由 ○アクセス/JR加賀温泉駅からタクシー12分 バス:キャンバスのホップホップ・実盛塚下車、徒歩2分

[義経記]では篠原に泊まった義経は『長井の斎藤別当実盛が、手塚太郎光盛と組んで討たれし所など見て、哀れを催し給ふ』と記されています。白髪を染めて戦った実盛の首を洗ったといわれる首洗池、なきがらを葬った実盛塚があります。

旧北陸道きゅうほくりくどう[旧木曽街道・浜通り道]

旧北陸道

加賀市橋立町 0761-72-6678(KAGA旅まちネット) P有 ○アクセス/(加佐ノ岬)JR加賀温泉駅からタクシー15分 バス:キャンバスで北前船の里資料館から徒歩20分

海岸沿いに松林のなかを通る浜通り道の一部が黒崎海岸の遊歩道近くに残っています。道幅は狭く、草木が繁る険しい道ですが、黒松越しに見え隠れする日本海がことのほか美しく感じられます。近くには北進する平氏軍が陣を敷いたといわれる[平陣野]があります。

菅生石部神社すごういそべじんじゃ

菅生石部神社

加賀市大聖寺敷地ル乙81-2 0761-72-0412 P有、見学自由 ○アクセス/JR大聖寺駅からタクシー3分、加賀温泉駅からタクシー5分

[義経記(ぎけいき)]では『菅生の宮を伏し拝み』と記されています。創祀は用明元年(585)、皇室、前田家が崇敬した古社。毎年2月10日の[御願神事]は、竹割り祭りとも呼ばれ、1200年続く奇祭として有名。

pagetop