漁業

   南加賀有数の漁港でもある橋立港は、江戸時代から明治にかけて北前船主を数多く輩出した「北前船のふるさと」です。北前船とは、江戸時代から明治時代にかけて大阪北海道間を西廻り航路で結んだ船の事で、日本海貿易の主役たる船でした。当時は「千石船、一航海で千両(現在の一億円)稼ぐ」とまで言われたほど栄え、巨万の富を築いた海運業者も数多くいました。
 栄華を誇った北前船の海運の足跡を今に伝える同港は、現在はズワイガニ(加能ガニ)の産地として有名で、四季を通じておよそ160種類にもなる魚が水揚げされています。
 また橋立では当時の北前船主たちの住まいが保存され、その豪勢な生活ぶりの一端をいまも垣間見ることができます。

海の魚達はどのように食卓までやってくるのでしょうか? まずは流通方法を見てみましょう。

漁業の流通
南加賀の魚の捕れる漁港に橋立港があります。橋立港ではセリがない日や海が荒れて漁に出られない時以外は毎日のように漁船が漁にでていき魚が水揚げされます。
 漁師さんがとった魚達は船内であらかじめ箱詰めされ、荷捌所に運ばれます。 橋立港でのセリは夕方6時半。とれたての魚介類がずらりと並ぶなか、セリ人(売り手)の独特の掛け声でセリが始められます。買い人は指を曲げたり立てたりと、指の動きで値を示す独特な交渉をし、あっという間に売買を成立させてしまいます。
 せり落とされた魚はトラックで県内外の市場へと運ばれます。石川県の小売店には、ほとんどその日の朝に市場で仕入れた新鮮な魚介が並べられます。

ところで漁師さんはどのように魚を捕っているのでしょうか? ここでは南加賀での主な漁法を紹介します。

●吾智網漁業
1そうの漁船で、ごち網という、袋状の部分(網目に刺させたり、絡ませたりする部分)と、魚を追い込むための部分からなる網で操業する漁法です。
●底びき網漁業
底びき網漁業は、海中の底層魚を網でひく漁業で、沖合底びき網(15トン以上の漁船)と小型底びき網(15トン未満 の漁船)に分けられます。
●定置網漁業
漁の期間中、支柱や碇などを使用して漁場に網を固定し、回遊する魚を漁獲する方法です。定置網で使用する網にはたくさんの種類があります。
●刺し網漁業
刺し網漁業は、魚群の遊泳する水域に網を遮断するようにはり、網目にささって、からまった魚をとる漁法です。刺し網の歴史は古く、網の中では最も構造が簡単です。

漁業

ところで漁師さんはどのように魚を捕っているのでしょうか? ここでは南加賀での主な漁法を紹介します。

春にとれる魚

カレイ カレイはカレイ科の魚の総称です。種類は様々で、地域によって色々な呼び方があります。石川県ではマガレイを「くちぼそ」、ムシガレイを「すがれい」、ヤナギムシガレイを「ささがれい」、メイタガレイを「すずめ」と呼んでいます。小さいころは普通の魚と同じように左右1個ずつに目がありますが、成長にしたがって左眼が移動するちょっと変わった魚です。
サヨリ 細長いスマートな体と、下あごが突き出ている外見が特徴的なサヨリ。石川県では春と秋に漁獲されますが、「花見魚」の愛称があるように春が旬。刺身やお寿司、天ぷら、塩焼き、干物などに料理されることが多く、白身の高級魚として扱われています。

夏にとれる魚

イカ 世界中に約500種類もいるイカ。イカは石川県でもっとも水揚げの多い魚介類です。代表的なものはスルメイカ、アオリイカ、ヤリイカ、 アカイカ(ケンサキイカ)、ソデイカ等。夏になると水平線にいっぱいのイカ釣り船の漁火がみられます。

秋にとれる魚

アマエビ ホッコクアカエビという名前が正式な名前ですが、甘エビという名前でよく知られています。最初はオスとして成長するのですが、4年目の春にメスに変わるというなんとも不思議な生態をもっています。甘くてプリプリの身がとてもおいしいです。

冬にとれる魚

ブリ(フクラギ) 成長とともに名前が変わる事で有名な出世魚のブリ。石川県では成長に合わせてコゾクラ、フクラギ、ガンド、ブリと呼び分けられており、石川で「フクラギ」と呼ばれる旬の時期は8月下旬から 10 月中旬まで。また正月ころのものは特に寒ブリと呼ばれ、脂が乗っており刺身や照り焼きなどにするととてもおいしいです。
ズワイガニ(加能ガニ)・コウバコガニ 石川県では11月の解禁とともに魚屋の店頭にずらりと並ぶ、 冬の味覚の代名詞。石川県ではズワイガニのメスをコウバコガニと呼びます。コウバコガニはオスより小さな分だけ味わいは濃厚で旨味もたっぷり。地元での人気も高い食材です。甲羅の中のミソや卵の独特の風味が珍重されています。

石川県の水揚げ量

6.5万トン(H19年)

石川県の水揚げ額

224億円(H19年)
石川県の海面漁業の総生産量は、1990年に23万トンと過去最高を示したが、2007年には6.5万トンと大幅に減少してきている。この生産量の減少の要因は、国際的な操業規制に加え、資源量の減少によるものであり、また総生産額も1982年には470億円と最高を記録したが、2007年には224億円と減少している。この減少は、生産量の減少と輸入水産物の増加、魚価の低迷が大きく響いている。

主たる漁業

■加賀/沖合底曳網、小型底曳網、吾智網、刺網
■小松/刺網、小型定置網、いかつり
■美川/吾智網、刺網、小型定置網

南加賀の登録漁船数

■加賀/総数203隻
3トン未満140隻/3〜5トン41隻/5〜20トン22隻
■小松/総数37隻
3トン未満11隻/3〜5トン24隻/5〜20トン2隻
■美川/総数63隻
3トン未満45隻/3〜5トン16隻/15〜20トン2隻

人材育成

日本国内の漁業就業者数は、1953年の約80万人をピークに、以降は減少傾向が続き、2005年には22.2万人まで落ち込んでいるという。また、漁業従事者の高齢化も進んでおり、65歳以上が6.3万人と全体の35%にも達している。全国で深刻な後継者問題が続く漁業ではあるが、石川県では石川県水産振興財団による体験乗船研修による人材確保や石川県漁業士会による後継者育成、指導援助活動等を行っている。

保護活動

近年、森林の海への影響がとりだたされる事が多くなり、海に対する森林の役割が見直されてきている。これにより漁業者による森づくり運動が全国で広がってきており、石川県でも植林活動や下草刈り等、森林保護活動が実施されている。

学んでいただきたいこと

・ 季節により採れる魚種も違うため、それぞれの漁にちがう技と知恵がある。自然と共生し、培った技術や技を学んでほしい。
・ 自然環境はバランスによって保たれているということを実感してもらいたい。
・ セリ市見学で、魚の流通の仕組みを理解する。

受入れ施設

石川県漁業協同組合 加賀支所

漁業

漁業体験
石川県漁業協同組合加賀支所では、活気ある魚市場の見学が出来ます。(参加者が少人数の場合に限ります。)威勢のよい掛け声で始まるセリ風景は一見の価値があり。水揚げされた魚がどのように競られているかが体験できます。魚が皆さんの食卓に並ぶまでの流れをみることにより、漁業に対する理解を深めることができます。詳しい内容はお問い合わせ下さい。

■体験期間/年中(参加者が少人数の場合のみ。詳しくはお問い合わせ下さい。)
■休日/休市カレンダーによる。不漁の場合は不可。詳しい日程や内容はお問い合わせ下さい。
■住所/加賀市小塩町コ181
■TEL/0761-75-1111
FAX/0761-75-1113

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