現代九谷

【昭和・平成】個性の時代、到来。

先人の英知を受継ぎながら独創性も追求

昭和に入ると、古九谷風、吉田屋風、飯田屋風、富本憲吉風などの作風を源流にし、作家の個性が強くうち出されていく。戦後、欧米から芸術思想が入り、九谷焼を芸術としてとらえ、創造的な意識を持つ作家も現れた。

文化勲章受賞者である浅蔵五十吉は初代徳田八十吉、北出塔次郎に師事。初代徳田八十吉の色絵技術と北出塔次郎の近代的な表現を融合させ、独特の世界を創造した。また、人間国宝である三代徳田八十吉は初代、二代に師事し新しい色彩表現を追及。色釉の微妙な変化や、色の対比の美しさから表現する作風「耀彩」をうち立て、前衛的な作品を生み出している。同じく人間国宝である吉田美統は金箔で文様を表現する「釉裏金彩」を極め、植物などをモチーフとする具象表現の作風を確立した。

新たな作品表現へ、新たな商品開発へ

現在、多くの九谷焼作家が南加賀に活動拠点を置き、独自の表現を追求している。産業として見れば、ガラスのグラスに九谷焼の台座を付けた九谷和ガラスや、上絵の劣化防止に表面をチタンコートした九谷焼の洗面台、無鉛九谷焼和絵具で上絵が施された皿など需要に応じた新商品が開発され、表現の幅はどんどん広がっている。

伝統を継承しながらも、作り手の発想や使い手の需要を受けて進化し続ける九谷焼の世界。その可能性は未来へと限りなく拓かれていく。

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